奥山真佳(東北大)

確率的な制御誤差が存在する量子アニーリングにおける閾値定理

量子系の時間発展は理想的にはシュレディンガー方程式によって記述されるが、現実の実験系では外界の影響を完全に排除することは難しい。 外界が量子系に与える影響として、先行研究では主に熱浴との相互作用や決定論的に生じる制御誤差が議論されてきた。しかし、制御誤差には決定論的に生じる誤差だけでなく、確率的に生じる誤差も存在する。この発表では確率的な制御誤差をシュレディンガー方程式における確率ノイズとして定式化する。 我々は確率ノイズのない量子アニーリングにおいて得られていた目的の終状態を、確率ノイズが存在する場合に得ることを保証する閾値定理を計算時間と確率ノイズの強さと測定回数の間の関係として与える[1]。 [1] M. Okuyama and M. Ohzeki, arXiv:2009.11151, to appear in Philosophical Transactions A.