鈴木 正(埼玉医大)

環境と結合した1量子ビット系の量子相転移と半Landau-Zener遷移

量子ビットが環境のもとでどのような挙動をするかを調べることは量子技術の基礎にとって重要である。本研究ではボソンの熱浴と強く結合した1量子ビットに注目する。古典状態間のトンネリングエネルギー(x方向の磁場)が有限で、z方向にかける磁場を一定の速さで反転させると、始めに磁場の方向を向いていたスピンはLandau-Zener遷移を起こし、有限の確率で磁場と反対の方向を向いた状態に遷移する。この遷移確率は、ボソンがスピンのz方向に結合する限り、スピン-ボソン間の結合強度によらないことが知られている。ところで、ボソンがスピンのz成分と結合している時、ある結合強度で量子相転移が起こる。にもかかわらず、Landau-Zenerの遷移確率が量子相転移の影響を全く受けないのは不思議である。本研究では、z方向の磁場を一定の速さでゼロにする半Laudau-Zener遷移を考え、量子相転移が遷移確率や他の物理量に及ぼす影響を見た。半Landau-Zener遷移による物理量の磁場変化速度による依存性は量子相転移の臨界指数によってスケールされることが明らかになった。