Mastiyage Don Sudeera Hasaranga Gunathilaka(東工大)

振幅制御コヒーレントイジングマシンを用いたL0圧縮センシング

量子マシンは、組合せ最適化問題を解く際の困難を克服する可能性を秘めているため、注目が高まっている。   この研究では量子マシンの実用的な応用を探るため、量子マシンを用いたL0ノルム圧縮センシング(CS)問題の効率的に解くことに着目している。圧縮センシングは、高次元の信号や画像を非常に少ない測定データで復元する技術である。L1ノルム圧縮センシングは凸最適化問題であるため、多くの効率的なアルゴリズムが開発され、広く実用化されている。これに対して、L0-norm CSは組合せ最適化問題のため実行が難しいが、L1-norm CSよりも高い精度の解を持つことが示唆されている。したがって、量子マシンでL0ノルムCSを効率的に解くことができれば、実用化への道が開ける。   本研究では、L0-norm CSの最適化問題を解くのに適したマシンの一つであるコヒーレント・イジングマシン(CIM)を使用する。CIMは全結合ネットワークを構築することができるため、L0-norm CSにおける最適化問題を解くのに適したマシンの一つである。カオス的振幅制御(CAC)フィードバックを持つCIMを用いて、L0-norm CS問題を効率的に解くことができ、CACフィードバックを持たないCIMやシミュレーテッドアニーリング、および他の実用的なアルゴリズムであるLASSOと比べて、より正確な画像復元が可能であることを示す。さらに、CACフィードバックを用いたCIMの性能が、CACフィードバックを用いないCIMと比較して、L0-norm CSの理論限界に近づくことを示す。実データとして、64×64と128×128ピクセルのMRI画像を用いる。その結果、CACフィードバックありのCIMによる復元結果は、他の手法と比べてより正確であることが示す。