服部智大(慶應義塾大)

縦磁場追加による量子アニーリングの性能向上

量子アニーリングは,容易に実装可能なモデルの基底状態からそのイジングモデルの基底状態へと時間発展することでイジングモデルの基底状態探索を行うアルゴリズムである.断熱定理によると十分に長いアニーリング時間をかければ基底状態を得ることができるが,有限時間では高い基底状態占有確率を得ることが難しい.そのため,量子アニーリングの途中にのみ有限の値を持つ項を追加してより短い時間で量子アニーリングするアルゴリズムの研究が進められている[1]. 本講演では,有限時間における量子アニーリングにおいて,縦磁場を追加することにより最終時刻における基底状態占有確率の向上を数値計算によって示した.本研究は,田中宗(慶應義塾大学)との共同研究である.
[1] Y. Seki, et al., Physical Review E 85.5 (2012).